「せき」
最近「せきが止まらない」を主訴に外来を訪れる患者さんが多くみられます。
いったい 「せき」はどうしておこるのでしょうか?
せきは、呼吸器系の防御作用で肺の中に異物が入るのを防止するためにおこります。その刺激となる物質は、ごみや食べ物のような場合もあるし、あるいはタバコの煙や香水のような化学的物質の場合もあります。もちろん、かぜや肺炎などの病原菌により起こる場合もあります。いずれにしても、私たちの体にとって、敵とみなされるものに対しての反応といえます。
「せき」の原因で一番多いのは、上気道感染、いわゆるウィルスによる風邪です。ウイルスに感染することにより、鼻汁などの粘液の分泌が増し、鼻つまり、くしゃみ、せきとなります。統計的にみて、小児の場合は、一年に3−7回、成人の場合は、一年に1−3回、いわゆる上気道感染、風邪にかかるとされています。
一般的なウイルスによる上気道感染の治療は、対症療法が一番で、特に抗生物質などの投薬の必要はありません。大半の 「せき」は、2−3週間で消退します。
では、これ以外のせきには、どのようなものがあるのでしょうか?
- ウイルス以外の上気道感染、いわゆる細菌感染によるもので、気管支炎や肺炎など
- 喘息によるもの
- アレルギー反応によるもの
- 上気道感染後に刺激が残り、一過性喘息のような状態になった場合
(Post Inflammatory Syndrome)
これらは、各病状にあった治療が必要となります。
さて今日のトッピックですが、「百日咳」です。
私たち、日本人も含めて、百日咳の予防注射は、子供のときに終了しているはずで、つい最近までは終生免疫と考えられていました。ところが、アメリカの最新の報告によると、予防注射をしている人でも37%かかっているとのことです。実際に感染しているかどうかは、血中のタイターを調べることによって証明できます。もし、感染したことが証明されれば抗生物質の投与により治療することができます。
皆さんの中で、もし一ヶ月以上 「せき」が止まらないようなときは、ぜひ主治医の先生に相談しましょう。(参考文献American Academy of Family Physicians, Essentials)
高血圧症と死亡率
高血圧症は、日本人に最も多い生活習慣病のひとつです。そして脳血管障害(脳出血、脳梗塞)の90%以上の原因を占めるといわれています。
The Journal of American College of Cardiologyの報告によると、若年(40歳前)の高血圧症は、心筋梗塞のリスクをあげるとされています。もちろん、それと並行して老年期の死亡率も上昇します。ですから、早期に高血圧症と診断された方は、食事療法、運動療法、体重の減量、薬剤療法などにより、血圧を正常範囲に保っておくことが推奨されています。
患者さんの中には、できるだけ薬をとりたくないと、がんばる方がおられますが、長期にわたって高血圧の状態にしておくと、心臓や血管に負担がかかり、かえって臓器にダメージを与えてしまうことがあります。これは、高血圧症だけではなく、糖尿病など他の生活習慣病にも同じことが言えます。主治医の先生に早めに相談して、適切なアドバイスをいただくことをおすすめします。
妊婦さんへのインフルエンザ予防接種
The Infectious Disease Society For Obstetrics and Gynecologyによると、妊婦さんがインフルエンザの予防注射を受けた場合、母子ともに有効との報告がされました。
まず、妊婦(母親)がインフルエンザで入院するリスクが下がり、新生児が、低体重児で生まれるリスクも下がるとのことです。アメリカの50州の中には、妊婦さんのフルーショットが健康保険でカバーされない州もありますが、ハワイ州はカバーされています。
インフルエンザの予防接種は、卵にアレルギーのある方は、受けれません。その際は、主治医の先生に相談しましょう。
H1N1予防接種について